「あー!お腹いっぱい!」
「そ,そうだろうねぇ・・・・。」
「ミソラーメンは最高だよねぇ!」
「そうですね・・・。」
少し苦しそうな,なるほど君に私は休むことなく言葉を放つ。
「あ,私事務所に忘れ物したから取ってくる!」
「あ,そうなの?じゃぁ送っていくから事務所の下で待ってるよ。」
「うん!」
お手紙
先に目の前の事務所まで走っていく。
階段の前まで来るとさすがに息が切れたのでゆっくり歩きながら上っていくのだが。
事務所の扉を開けるとクーラーの入っていない部屋の独特な空気が私を包み込んだ。
「うっわー。あっつ・・・・・・・。」
さっさと忘れ物をとって帰ろっと。
私は仮眠室に入った。
昼間,仮眠室に寝ていた私は睡眠には少し邪魔な勾玉を枕元に置いたままだったのだ。
勾玉を忘れては霊媒師として少し不安になるもので。
だから取りにきたんだけど・・・・・
「あ,あった!」
そこにあったのは正に私の勾玉。
さっ,帰ろっと思った時に私は仮眠室の机に目がいった。
さっき,なるほど君の書いていた便箋。
出すつもりなら封筒に入れて,さっき出しに行けばよかったのに・・・・。
それとも出すつもりはないのかな?
「・・・・うん!私,なるほど君の助手だし!」
見る権利ってものはあるよね。
・・・・でも流石に手紙には通用しないかな・・・・・・。
まぁいっか。読んじゃえ。
「拝啓 綾里 千尋様・・・ってお姉ちゃん宛て?」
一体どういうことなんですか?
あ,もしかしてお姉ちゃんが生きている頃,渡せなかったものかな?
ふむふむ・・・・・。
いや,でも空の上って書いてあるからやっぱり死んだあとの手紙だ。
・・・・・・・。
なるほど君,やっぱりお姉ちゃんのこと好きだったんだ。
まぁ薄々気づいてはいた気がしてたけど・・・・・。
なんか・・・目の当たりにするとショックだなぁ・・・・・。
・・・・ショック?
何で私は今,ショックを受けたんだろう・・・・・?
こんなんじゃ私・・・・
あー!もう!先,先!!
・・・・・・・もう一つ・・・・?・・・って私!?
・・・ふぅん・・・・私が傷ついているってことぐらい分かってたんだ・・・・。
・・・別に恨んだりしてないよ。
弁護なんてしなければ,はちょっと酷くない!?
もう,帰ったらどうしてやろうかなぁ!?
お,何か最高のパートナーって私かっこいい!!
さっきの弁護のことは許してやろう。
・・・・・へっ?
すすすすすすすすすすすすすす好き?
誰がっ?私?
「ちょっ・・・冗談でしょ・・・・。」
と,とりあず読み進めよう・・・・。
・・・・・。
「妹・・・・以上・・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「異議ありまくりだよぉ・・・。」
この手紙は本気で書いたものなの?
だとしたら最後のこの部分は・・・・・?
やっと分かったかもしれない。
私はなるほど君のことが好きだったんだね。
さっき,お姉ちゃんのことが好きだったと知ってショックを受けたのは嫉妬などからだと。
そして,今のこの胸の高まりがその証拠だろう
私はなるほど君のことが・・・・・・。
「真宵ちゃん?」
「きゃわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「な,何だよ?突然叫びだして・・・。」
「い,いや・・・何でも。」
慌てて便箋を折りたたみバレないように机の上に戻す。
「忘れ物・・・・あったの?」
「あ,あぁ。うん。」
ヤバイ!思いっきり,私動揺してるよね!
「ご,ごめんね。なかなか見つからなくて・・・・。」
「うん。別にいいよ。じゃぁ帰ろっか。」
「う,うん。」
2人で事務所を出る。
あわわわ・・・・・。気まずいよぉ・・・・。
もちろん,なるほど君は私があの便箋を読んだなんて知らないだろうから平常心で私の隣を歩いている。
でも,私は頭も心もパニックだ。
何がなんだか,さっぱり分からない。
こ・・・・ここは平常心で話さなきゃね・・・・。
え・・えっと・・・・。
「な,なるほど君!」
「ん?何?」
ここは平常心だよ,真宵ちゃん!!
「な,なるほど君はお姉ちゃんのことどう思ってたの!?」
「えっ?」
地雷踏んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
私,ダメじゃん!!!
「どうって・・・・・,師匠としか・・・。」
「そそそそそっかぁ!」
「う,うん・・・。」
ジャーン ガラガラガラ・・・・
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!どうしよ!
なるほど君,完璧に変だと思ってるよ!!!
しかも,サイコ・ロックまで出てきた!!
あ,そっか今は私が勾玉持ってるんだ・・・。
それより今は何とか話題をそらさないと・・・・・。
「じゃ,じゃぁさ!」
「うん。」
え・・えっと・・・。あー,もう!何で私ってこういうとき弱いんだろ!!
「あの・・・・私の事どう思ってる!?」
「はい?」
鮮やかに地雷踏んだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
もう,どう対処していいか分からない!!!
「・・・・いや・・・助手だろ・・?パートナーってやつ・・・?」
「そ,そうだよねぇ!!」
ジャーン ガラガラガラ・・・・
「・・・・・・・?」
サ・・・サイコ・ロック・・・・!!
じゃぁやっぱりあの手紙は・・・・・・。
「あれ,真宵ちゃん。勾玉落ちたよ。」
「へっ!?」
あ,サイコ・ロック消えた・・・・・。
「・・・・あのさ・・・・。」
「は,はい!?」
「どうしたの,急に?」
「い,いや別に気になっただけというか・・・・・・。」
「・・・・・・・まさか。」
「!」
「机の上にあった手紙,読んだとか?」
「よよよよよ,読んでないよ!!」
あぁ・・・今勾玉はなるほど君の手の中・・・。
サイコ・ロック出てませんように・・・・・・!!
何で勾玉落としたよ,私!!
「・・・・見たんだ。」
「へっ!?何で!?」
「君が一番良く知ってるはずだよ。これ。」
見せられたのは私の勾玉。
やっぱり出てましたか・・・・・・・・。
「はぁ・・・・。ダメだろ。人の手紙を勝手に見るなんて。」
「ご,ごめんなさい・・・・。」
「何だ・・・・,見たから急に言いだしたのか・・・。」
「うぅ・・・・・」
「びっくりしたよ。さっきまでミソラーメン食べてご機嫌だったのに急におかしくなるから。」
「だ,だって・・・・・・。」
「1つ目は僕が千尋さんに惹かれていたという事実を知って驚いた。
2つ目,僕が真宵ちゃんのことが好きだという事実に驚いた。そうだろ?」
「う・・・・うん。」
「でもね,あの手紙には事実しか書いてないよ。」
「へっ?い,いや・・・・」
「僕は千尋さんのことが好きだった。でも,それは過去の話。今は・・・・・君が好きなんだ。」
「えっ・・・・・・。」
「ゴメンね,手紙に書いてたとおり。あの手紙に何一つ嘘はないよ。」
「いや・・,あの・・・・。」
「真宵ちゃん。」
「は,はい・・・?」
「真宵ちゃんは?」
「へっ?」
「僕のことどう思ってるの?」
「・・・・・・っ。」
真剣な眼差しで私を見るなるほど君はいつもと違うのは火を見るより明らかだった。
私・・・・?
私は・・・・・・・。
「私は・・・・・。」
ど,どうしよっ・・・・。
声が出ない・・・。うまく伝えられる自信が無い・・・・。
でも,ここで私が勇気を振らなければきっと・・・・・
:真宵・・・・・。:
:後悔・・・・し・・ないで・・・・。:
「えっ・・・!」
「・・・・どうしたの・・・?」
今の・・・・
お姉ちゃん・・・・?
「真宵。あのね,人生は一回しかないでしょ?」
「うん。私だってバカじゃないからね!」
「ふふ。そうね,真宵はいい子だもの。でね,あなたに守ってほしいことがあるの。」
「うん。何?」
「あのね,後悔って言葉,知ってるでしょ。」
「うん。後から,この時ああしておけば良かったとか思うことでしょ?」
「そう。その後悔をしてほしくないの。」
「後悔を?」
「そう。物事が終わってから,あの時ああしておけばよかったなんて悔やむ人生を歩まないで。」
「分かった!私,後悔しないね!」
「うん。約束。」
お,お姉ちゃん・・・・・?
お姉ちゃんは何で突然あんなことを言ったの?
・・・・きっと。
お姉ちゃんは神乃木さんの事を後悔していたんだね・・・・
きっと思いを伝えられないまま死んでしまったから。
お姉ちゃん。私,お姉ちゃんの妹だもん。
絶対に・・・お姉ちゃんの意思を引き継ぎたい・・・・・。
「なるほど君,私も好きだよ!」
「・・・・・へっ?」
「うーんとねぇ・・・・。初めて会ったときぐらいかなぁ・・・・・。」
「・・・・そ,そっか・・・・。」
「うん。大好きだよ!」
「・・・・・・・・あのさ。」
「うん。」
「・・・緊張・・・しないの?こういうときって・・・・」
「えっ?何で?本当に好きなのに緊張する必要ないじゃん。」
「・・・・・そ,そっか・・・。」
「じゃぁさ!付き合い始める記念に,いっちょ味噌ラーメンを食べに行こうか!」
「えっ!?いや,でも今日はお金が・・・」
「何言ってんの!?付き合い始めた記念の日だよ!なるほど君が浮気しない限り私たち,一生一緒なんだよ!」
「・・・・えっ!?真宵ちゃんは浮気しても一生一緒なの!?」
「いや,違うよ。だって私の中ではもう,なるほど君が一番で,それは一生変わらないもん!!」
「・・・・・・・ッ! よし!じゃぁ味噌ラーメン特盛り行くか!」
「やったね!じゃぁ明日はハミちゃんに報告に行こうね!」
「うーん・・・・。何かえらいことになりそうな気がするんだよなぁ・・・・・。」
(きっとさっきの真宵ちゃんにの言葉,男殺しって言うんだろうなぁ・・・・・。)
続き。いわゆる続編というやつ。
書いてみたよ。短文多すぎるよ・・・・。と嘆く今日この頃。