離れ離れ

倉院の人間は皆が皆,霊力を持っているわけではない。

私は家元の娘ってこともあって霊媒を出来るほどの霊力はあった。

しかし,その能力は誰もが持っているものではないと知ったとき,私にはもう妹が生まれていた。

お母さんの姉であるキミ子様。

この里では姉妹であると姉の方が霊力が強いのだが家元は妹であったお母さんが継いでいる。

理由は分からないが多分お母さんの方が霊力が強かったのだろう。

前,里の人たちに聞いたこと。

お母さんとキミ子様はどちらが家元を継ぐかでそれは大問題になりキミ子様はお母さんを

殺害までしようとしたらしい。だから私は妹の真宵が生まれたとき,喜びに包まれる中で,1つの不安もあった。

 離れ離れ

真宵が4歳になったころ,私は中学2年生で勉強に部活,修行と言う多忙な毎日を送っていた。

だから,遊び盛り・・・というかいたずら盛りな真宵にあまり構ってあげられなかった。

そんなとき,私は2人の少女と真宵が遊んでいる光景をよく目にするようになった。

真宵の6歳上の私達の従兄弟。

「あ,真宵ちゃん!それは触っちゃダメだよ!」

「あわわ!・・・・危なかった・・・。」

3人が笑顔で遊んでいる。

その光景は誰もが見ても微笑ましいものだろう。

「おはよう,ちなちゃん。あやめちゃん。」

「あ,おはよっ!千尋おねえちゃん!」

「今日も真宵と遊んでくれてるの?ありがとねっ。」

「うん!だって真宵ちゃん,可愛いもん!」

「ふふ。そう?」

「うん!」

 

あの頃は本当に幸せだった。

私達にも,そしてあの2人にも笑顔が見えた。

それが・・・いつから狂い始めたんだろう。

真宵はそのまま何も知らずに純粋に育ってくれた。

2人は行ってしまった。

ちなちゃんはキミ子さんの旦那さん,おじ様についていき

あやめちゃんは葉桜院に預けられたと聞いた。

2人には霊力がなかったのだ。

それを知った時,私は私の部屋に置いてあったある一通の手紙を見つけた。

:千尋おねえちゃんへ:

「・・・私宛・・?」

この字にこの言葉遣い。

一目見て彼女達のものだと分かった。

震える手で封筒から手紙を出し,ゆっくりと読み始める。

:おねえちゃんへ

私とあやめは遠くに行くことになりました。

お姉ちゃんにはいっぱい遊んでもらって楽しかったよ。

真宵ちゃんには私達の記憶は残らないだろうから何も言わないであげてください。

千尋おねえちゃんも修行,頑張ってください。

いつか大人になってからまた会えるといいね。

    ちなみ,あやめ。                                   :

 

「・・・・・・・。」

2人は・・・どんな思いでこの里を出て行ったのだろう。

いったい・・・・どんな心境で・・・。

 

「・・・・おねえちゃん・・・?」

「・・・・ッ!」

びっくりして後ろを振り返った。

そこには,小さい霊媒服に大きな勾玉をつけた真宵が立っていた。

「・・・泣いてるの?」

「え・・・・。」

頬に涙が伝っていた。

気づかなかったけど,私はいつの間にか泣いていたんだ。

「・・・だ,大丈夫よ・・・・。」

「お姉ちゃん達は?」

「あ,・・・・・・・お姉ちゃんたちは少し旅行に行ってくるって。」

「そっか・・・・・。」

・・・・ごめんね・・・。真宵。

あの子達の最後の願いだから・・・

せめて・・・嘘をつかせて。

 

 

その後,私達は最悪な形で再会することになった。

もちろん,ちなちゃんは私の事なんか覚えていなかった。

彼女は変わってしまったのだ。

あの出来事の後。彼女は自分を偽るために様々な罪を重ねた。

あんなに,ちなちゃんにくっついて遊んでいたあやめちゃんは彼女の傍にいなかった。

その後,ちなちゃんは死刑判決を受けて私は一つの証拠品のために殺された。

真宵は家元としても,なるほど君の助手としても働き。あやめちゃんは葉桜院で尼をやっている。

私達は離れ離れになった。

そして,今。それぞれの道を歩き始める。

 

いつか4人で笑えると信じて。

 

くだけちったはずのカケラはまた元通りになる。

きっと私達も・・・また元通りになると信じて。

 

 

4人の小さい頃のお話。

ちなみちゃんは里を出て行く頃,っていうか生まれたころからあんな純粋な子ではなかっただろうけど

すべて私の妄想ですw

ちなみちゃんは,里にいるころはとっっっても純粋で優しい子だった設定。

ちなみに言うと,この小説を書くために年齢を頑張って調べましたw

 

 戻る